top of page

SP TALK 【監督「竹田和哲」×ヒバリ役「玉井敬大」×ゲスト「小林夢祈」】後編

映画『絆王子と無限の一歩』スペシャルトーク監督「竹田和哲」×ヒバリ役「玉井敬大」×ゲスト「小林夢祈」


舞台・ドラマなどで俳優としての活動をしつつ映像クリエーターとして活躍する竹田和哲2つの劇団の主宰として学生劇団の大会で数々の賞を受賞する玉井敬大アーティストとしてまた近年では映画の現場でも活動する小林夢祈この3人の活動の原体験として演劇部での活動があります。 ただ徹底してプロの演技を研究した竹田さん、アドリブに特化した玉井さん、学校内外で活動した小林さん、活動の方向性はそれぞれ違うようで・・・。そんな3人の共通点とは? 





左から竹田監督、玉井敬大さん、小林夢祈さん
左から竹田監督、玉井敬大さん、小林夢祈さん



○3人の共通の原体験 演劇部


小林:

僕たちの共通点としては演劇がありますよね。僕、中学生のときに竹田さんの舞台「眠り木の精霊」を観に行きました。


竹田:

そんな世代差!? 演劇部にいた当時ってどういう気持ちで活動してた?


玉井:

革命を起こす! 


竹田:

熱い! 


一同:

(笑) 


玉井:

演劇部に入った当初、そのときの演劇部の制度がすごく嫌いで「俺はやりたいようにやる」って言い出した部員がいたんですよ。そいつが、なかなかできるやつで先生と反発して…。まぁ、革命しかないですねっていう。


竹田:

そんなことある? でも、すでにあるものに対する反発っていうのは3人に共通しているのかな。反発の方向性は違うかもしれないけど、そういう意味では似てると思う。既存の演劇部が嫌いだったんだけど、例えば大会の制度。演劇の全国大会ってテレビで放映されていて、それで興味を持ったんだけど、いざ地区大会を観に行って「なんだこれ気持ち悪い」と思った。


玉井:

まぁ、大会は審査員に気に入られるかのゲームっていう要素が強いと思いますね。そこを魂に刻んでおかないと、負けたときに「なんでそっちのほうが面白いねん!」っていう気持ちになっちゃうから。


小林:

いま思うとへんてこなシステムだったけど、夢中でやっていたから全員熱かったかな。そこが良さかなって。泣いて笑って喧嘩して、みたいな。


竹田:

おっさん達が自分が作れなかった青春を取り戻すための道具に使われているなと思って。「高校生じゃないと描けないもの」とか「いまだからこそ」とか聞こえはいいけど、それってこの子達の将来の演劇人生において本当に必要か? とか思ってて。だから、乗っ取った。


玉井:

乗っ取ったってどういうことですか?


竹田:

途中から入部して。別の部活だけどミュージカルをずっとやっていましたとか、お芝居が大好きだっていう友達を集めて、即席のキャストを組んで公演をやって。そしたら新入生がたくさん入ってきてくれたおかげでまあ「竹田が部長をやってくれ」ってなって、乗っ取り成功! っていう(笑)。


小林:

本当に作品を観て人が入ってくるなら、やり甲斐ありますよね。


竹田:

部活のやり方としては参考にはならないかもしれないけど、その時やっていた手法としては、プロの演技を一言一句真似するっていうやり方を徹底していて。全員にお芝居のDVD をダビングして配って、完コピを目指すっていう無茶苦茶なことをやってたな。いま考えるとちょっとそれはって思うけど、当時の僕の理屈としては、同じセリフの言い方・同じ立ち位置・同じ間・同じ感情を再現すれば、同じ感動と同じ笑いが貰えるっていう思想で。完全にコピーすればプロになれるから、オリジナリティはプロになってから後で身に付ければいいっていう考え方だったな。すごい尖った思想を持ってやってたな。


玉井:

僕も後輩に言ってましたね。他の高校さんの演劇部を観て「この人うまいな」と思ったやつをちゃんと観て、何でうまいと思ったのかっていうところを考えてみろ、って。真似してみるっていうところから上達するっていうのは絶対あるよなって思う。うまさどうこうで悩んでるのであれば、まずいいなと思った人の演技を真似するのは絶対にあるなと思いますね。


小林:

僕は違うタイプでした。中高一貫の学校で中学と高校で演劇部がそれぞれあったんで、中1から演劇部に入ってなんとなくやってたんですけど、その部活のOBとOGで結成された劇団の公演を観に行ったのがきっかけで小劇場の世界を知ったんです。同じ部活の中で僕だけ一人でウィングとか應典院とか小劇場に足を運ぶようになって。何が面白いか面白くないかを考えたときに、他校の演劇部の上演を観てだけじゃ自分が面白いと思うものはできないなって思って、ダンスとかたくさんの芸術を観て自分はこれが好きでこれが嫌いなんだ、っていうものを形成していきましたね。そうしていくうちに、自分が好きなものと部活が好きなものが合わないっていうことに、中3ぐらいのときに気づいて。「自分の好きなことをやれる場所は自分で作っておこう」と思って劇団を旗揚げして、自分で脚本を書いて出演してみたいなのをちょこちょこやりだしました。でも高校の演劇もしっかりやってたんですよ。両立してたというか。高校の演劇部の部員たちには「演劇をずっと好きでいてもらいたい」という気持ちでやっていたかも。僕がいちばん演劇をよく観てたし詳しかったから。面白いものを作るっていうのは自分の劇団で極められるから、部員のみんなに部活ライフを楽しんでもらうにはどうしたらいいかな? っていうのをずっと考えていた高校生活でした。


玉井:

ウチの部活でも、部員と先生とで共通意識としてあったのが、役者がやってて面白いと思っていなかったら絶対お客さんも面白くない、ということ。なるべくみんながやりたいこととか、やってて面白いなと思えることをやりたいなと思ってた。だからまず、みんながチームとしてまとまることを前提に作品を作ろうって考えてやってました。


竹田:

僕らの共通している考えとして、好きの感情と嫌いの感情のバランスを保ち続けているところがあるなって思った。好きだけだとやっぱり、何で好きなのかとか何が嫌なのかとかわからないから。革命する前提になっちゃってるけど(笑)好きだけだと成長はない。消費者になっていくかなって。この状態は嫌だとかこういう演劇は嫌だとかの嫌いの感情から、いったい自分は何が好きなのかを見つけられる。逆に自分の好きな感情から、じゃあこっちは嫌いなんだなというふうに。好きを探しにいくときには、嫌いから探しにいくと意外と見つかりやすかったりするんだよね。めちゃくちゃ好きとかめちゃくちゃ嫌いっていう感情が、自分の中にない人たちもいっぱいいると思うんです。自分は何が好きなのかわからない、みたいな。本当に自分は演劇が好きなんだろうかとか、演劇やっててもみんな多少なりとも感じるんだろうなと思う。「こんなすごいやつらがいるんだ」っていう壁がいろんなところにあったりもするし。でも、こうやって好きと嫌いの感情を行き来していけば、お互いにどんどんその気持ちが上がっていく。その2つしか原動力にならないんじゃないかな、分解していくと。自分の好きと嫌い、それを両方、常にフルでエンジンを回しておく。これで永久に突っ走れる気がする。 



次の演技を打ち合わせる玉井さん
次の演技を打ち合わせる玉井さん


○今の中高生や学生へメッセージ


玉井:

大学行くんやったら、大学受験や大学生活に響かん程度にやりたいことやりな! ってことですかね。これはマジでそう。絶対後悔するから。


小林:

自分のここがつまんないと思うところと、自分のここは他の人とは違って面白いと思うところを持ってるといいんじゃないかな。自分のつまんないと思うところも大事だと思う。自分はどうしても人に勝てない、みたいなところ。あとは自分の良いところ悪いところとか。ぼやっとでもいいから見つけておくと、受験とか就活に便利かもよ。といっても僕も高校卒業してまだ2年だから…。全然威張ったこと言えないけど。


玉井

僕は3年やけどな。たかが3年。ここは年長者の竹田さんがバシッと締めてくれるから。


一同:

(笑)


竹田:

マジかー。好きと嫌いの話で言いたいこと言い切ったんだよなぁ(笑)。でもさっきと同じかな。自分に対しての好きと自分に対しての嫌いという当てはめ方もできるし。いろんなものに対して、好きと嫌いの両方の目線をぶつけたときに見えてくるものって必ずあるから。何かやりたいことを探したいとか、好きかもしれない演劇を極めていけたらいいなとか、ちょっとでもやりたい世界に足を伸ばしていきたいのであれば、日常のあらゆることに対して好きと嫌いの両輪をもって世界や自分自身を見つめるようにしていくと、どんどん自分の中のモチベーションが上がってくると思うし。結局、何するにしても走り続けたやつが強いんだよなって。無我夢中で狂ったようにやり続けられるやつがやっぱり最後に残るし、そこで自分の限界を感じてブレーキをかける瞬間がどこかで必ず来るから、その先も前も結局は同じなのかなって。僕はいまの自分にも言い聞かせてるな(笑)。お前の好きは何なんだ、お前の嫌いは何なんだ、食べ物にしても人付き合いにしても。表現しづらい世の中になってきているけども、自分の中だけでもそれを持っておくっていうのが大事なことだと思います。


竹田:…締まったのかな?


小林・玉井:

締まったでしょ!


竹田:

では、以上でトークを終わらせていただきます。ありがとうございました。



映画『絆王子と無限の一歩』の最新情報は公式サイトにて




Comments


bottom of page